「ほら、早く
ネクタイを解かんかッ」
「……」
おじいちゃんに
せっつかれて
取りあえず
私は自分の手錠を外すッ。
「ワシのも早く外さんかッ」
「……」
はたして
このまま
このおじいちゃんを
自由にしてしまっても
良いモノなんでしょうかッ。
自分の中の
情け深さと打算が
戦いを始めていますッ。
「何をしてるんだ」
意地悪せずに
早く解いてやれよ、って
電話を終えたセイが
おじいちゃんの味方をしてッ。
…カチン、とくるッ。
「……」
私はしぶしぶ
おじいちゃんの両手を
自由にすると
セイを
ひと睨みしてやったのにッ。
それを無視して
「ジイチャン。
着替えが届く前に
シャワーを
浴びておいたら?」
セイが平然と
おじいちゃんを
バスルームに
誘導していったッ。
…私だって
おじいちゃんのオシッコ
いっぱい
かかったのに。
私は
それこそ嫌がらせのように
先生のキッチンで
異臭のする袖口と
スカートを
台所洗剤で
摘まみ洗いをするッ。