スプリング♂028
「…セイはホンットに
意地悪だッ…!」
悪いのはセイじゃない。
わかってる。
留守番ひとつ
まともに出来ず
おじいちゃんの策略に
まんまと引っ掛かり
オシッコを引っ被るという
失態を重ねて。
セイにバカにされても
仕方のない状況だ、って自覚は
充分過ぎるくらいあったから。
「心配なんかしていない」
私は余裕のあるトコロを
アピールしたかっただけで
本当はそんなコト
思ってもいないんだ、って
正直に
訂正すればいいコトなのに。
自分の間違いを
訂正するコト
イコール
全面降伏。
自分には
カンケイのないハズの
先生のお家騒動に
巻き込まれて
不本意ながらも
自分なりに
精一杯頑張っていた
自分の誠意や努力までもが
前言を撤回するコトで
全てを
否定されてしまうような
気がして
どうしても
素直になれない。
「どうぞッ!
ひとりで
やさしい先生が待っている
病院に
さっさと戻って
せいぜい
大事にして貰ってくださいッ」
私はまた要らぬひと言を
セイにぶつけてしまっていて。
「…ああ、そうするよ!」
あの病院
看護師もスタッフもみんな
トーコの何倍も
親切だからな、って
セイは
再び私に背中を向けた。
「セイなんてッ
一生、先生といっしょに
暮らしていればッ」
売りコトバに
買いコトバ。
もう止まらなかった。