ピ〜ンポ〜ン!

「……」


ピンポン、ピンポン

「……」


ピンポン、ピンポン
ピンポ、ピポ〜ンッ!!!

「……」


ピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピッ!

「…ッの!」


待たせていればいい、と
私に余裕をみせていたのは

確かにセイだった。


セイだったのにッッ!!!


「どういうつもりだッ!!!」


無粋すぎる
執拗な玄関チャイムに

セイの苛立ちが
マックスになるッ。


「あの運転手
クビになりたいのかッ」


ハイヤーの運転手は
待つのが仕事だろう、って

セイがツカツカと
玄関電話に近づいて

インターフォンを
取ろうとして

…やめる。


「…どうしたの?」


「もし
あのオンナだったりしたら

厄介だよな」


セイが監視カメラの
スイッチを入れて

玄関の外の
廊下の様子を確認した。


…あのオンナって。

もしや
大正ロマンの
コトですかッッッ!!?


私はイッキに
現実に引き戻されて

思わず
画面を覗き込むッ。


「…運転手さんが
ひとり、だよね」


「この監視カメラ
死角が多すぎなんだよ」


…セイが舌打ちしながら
玄関の方に歩いて行く。


「セイッ!
どうするのッ!?」

「しッ!」