「ほらッ!
寄り道せずに
急いで帰んなよ!」
玄関ドアを開けたセイが
そんなおじいちゃんを
蹴り出してッ!!!
バタンッガチャチャ!
…まさに瞬間芸。
ドアに再び
カギとストッパーが
掛けられたッ。
「はあーーーーーッ」
おおきく溜息をつくセイに
「…先生の家のお家事情に
随分詳しいよね」
なんて
嫌味を飛ばしてしまう
つもりなんてなかったのに。
「…別に」
セイは
そう答えた後
上目使いで私を見て
「嫉妬?」
妖しい微笑みを湛えながら
思わぬ質問を
私に投げ返してきた。
「……」
…こういう場合。
何て答えるのが
正しいのかッ。
学校のテストでも
3択とか
ヒントがあるのにッ。
…困ったッ。
おじいちゃんを
追い返してしまったから
その場を誤魔化す
言い話題もなく。
私はただ
セイの醸し出す妖しいオーラに
飲まれてしまっていた。
「……」
「……」
息苦し過ぎる沈黙。