スプリング♂029
「今夜はふたり、楽しもう」
セイの唇が
私の耳に触れ
ドキドキする。
「…骨にヒビが
入ってるんでしょ」
私の腰に回ってくる
悪戯なセイの指を掴まえて
余裕をみせたつもりだった。
「下半身は無傷だし」
痛み止めのブロック注射も
打って貰ってるから、って
両手を私に取られたセイは
その口と舌で
私の制服のボタンを
外そうとするッ。
「ダメだよッ…!」
「どうして?」
「先生が帰ってくるかも」
私の答えに
セイの口の端が上がっててッ。
「3人でやろうとか
見せつけてやろうとか
絶対に嫌だからッ!!!!」
「……」
「……」
「…わかってるよ」
って。
また笑ってるッ!!!!!
私の訴えに
セイは
適当な返事をしながら
私のささやかな胸を
肌蹴させて。
「こら、逃げるな!」
身を縮めるようにして
後退しようとする私を
自分の方へと引き戻して
また笑ったッ!!!!!
「…先生なら
今夜は戻ってこないから」
え?
「今夜は
医師会の仲間との
夜のクラブ活動のある日
だから」
「クラブ活動…」
その怪しげな響きに
思わず額から
汗が噴き出してくるッ。
「ただし
女人禁制の、だけどね」
「……」
怪しいッ。
怪し過ぎですッ。