スプリング♂030


玄関のドアと
チャイムの連打。


カーテンの向こう
窓の外の怪しい気配。


そして

部屋の中
鳴り響く電話…。


まるで
お前達は包囲されている、と
言わんばかりの

自己主張ッ。


誰がいったい何の目的でッ。

なんて

考え出したら


アタマの中に
真っ先に浮かぶのは


大正ロマンッ。

そのヒトで。


私達を怖がらせて

例の書類や紬の着物を
取り返そうと
しているのだろうか。


「…9階の窓の外だって
屋上から何かを吊るして

窓ガラスを
叩いているのかも
しれないよね」


セイの同意を求めようと

視線を窓から
セイに向けると


「!?」

セイの長い腕が
電話のオフボタンを
押していてッ!!!


「セイってばッ!!!

どうして掛ってきた電話を

相手を確かめもせず
切っちゃうかなッ!?」


「…ウザイから」

セイはそう答えると

私の腰を両手で掴んで
抱き寄せた。


「よくこの状況下で
そんな気になれるわよねッ」


私の下着を

足から抜き取ろうとする
セイと

それを阻止しようとする
私が

ベッドの上で
もつれ合うッ。