ガッ!
ダンッ!!
ドダッ!
…激しく何かを
ぶつけ続ける音に
思わずテツオさんと
顔を見合わせるッ。
「やっぱりセイ達を先に…!」
「やだトーコちゃんッ
置いていかないでよお!」
想像を超える展開に
その場をふたり
立ち去ろうとしたのに。
『…トーコちゃん?』
「!?」
インターフォンから
聴こえてくるこの声は…!!
「先生ッ!?」
私はテツオさんの手から
先生の部屋のカギを奪って
大正ロマンの部屋の
ドアを開けた!
「!!!!!」
砂利の敷かれた
廊下の向こう
真っ赤な郵便ポストの置物に
先生が
手錠で繋がれていてッッ!!!
「先生ッ
大丈夫ですッかッ
わッ!?」
先生の傍に駆け寄ろうとして
床に散乱していた
置きモノ達に足を取られて
転びそうになったッ。
「ごめんッ!
インターフォンの
ボタンを狙って
手から届くモノを
手当たり次第
投げていたから」
ってッ。
「それより
僕のコトはいいから
先に奥の部屋にいる
セイくんを!」
「え」
先生が示した方向には
カフェ風の例の部屋の
ドアを開けると
カラコロロンッ。
陽気なドアベルの音とは
正反対な光景が
私の目に飛び込んできた…!
「セイッ!!!!」
まるで
ハリツケにされるようにして
負傷した肩の方の手首を
手錠され
壁から吊るされていて。
肌蹴たシャツ。
青白い顔には影が差し。
まるで
標本の美しい蝶のように
セイは、そこにいた。