「やだ…ッ!

セイッ、セイッ
セイイ…ッ!!!!」


気を失い掛けていた
セイのカラダを

私は
抱き上げるようにして

床から浮かせると


「トーコちゃん、これ!」

テツオさんが
すかさず椅子を持ってきて

セイの足を椅子に乗せる。


負傷していた肩に
全体重が掛っていたのが

急に体勢を変えられて

「ぐ…おッ」

悲鳴ともつかない声が
セイの痛みを表していた。

「タカヒロッ!
手錠のカギはッ!?」

私といっしょに
セイのカラダを支えながら

大声で叫ぶテツオさんに


「…カギ、使えない。

カギ穴に…パテ…を
埋められた、から…」

息も絶え絶えに

セイが
ちいさな声で呟いて。


「パテッ、パテって…」

私が画材店で買った

「テーブルの修繕用のッ!?」

パニックして泣き出す私に

「トーコちゃん!
セイくんの腕
この位置で固定しておいて!」

工具を持ってくるから、と

テツオさんが
私をセイの傍に残したまま
部屋を飛び出していく。


「…大丈夫。
大丈夫、だから」


セイのカラダに
しがみつくように支えていた
私の背中を

セイの自由な片腕が
やさしく抱きしめてきた。


「…どうして
こんなコトに…!!」

「…ふんッ!
バカっ正直な先生がッ
話を…合わせられずに

あの占いオバサンのッ
プライドを…
傷つけたりするからッ」


しゃべる度に
肩がおおきく動いて

セイが
苦しそうにしていて。


「セイ、もういいから
黙ってて!」

セイの胸
セイの心臓の音が聴こえる。


「…おまえ、何だって
戻ってきたりしたんだよ」


セイの頬が私の髪に触れ

アタマを
抱きかかえるようにして

私の髪にキスをした。