「アンタねえッ!」
テツオさんが
大正ロマンをキツイ目で
睨み返すと
「この部屋のドアのカギ穴に
パテを詰められていて
ドアが開かないんだ、って
聴かせてあげないの?」
大正ロマンが
テツオさんを挑発する。
「…ドアが
開かなくなってる?」
まさか、ね。
冗談ですよね?
「だって
タカヒロさんってば
凄い形相で
部屋に帰ってきたかと
思ったら
私の存在に
気づきもしないんだから」
ちょっと
意地悪してみたくなったの、と
大正ロマンの
目だけが笑っていなかった。
「…どうやって
手錠を外したのかと思ったら
アナタ達がいたなんて、ね」
大正ロマンは
計算外だった、と
言わんばかりで。
「アタシ達がいなければ
セイくんを人質みたいにして
どうするつもりだったのよ!」
それでも
テツオさんは
怒りを抑えながら
しゃべっていたのに。
「アナタ。
あんまり怒ると
整形した顔が崩れるわよ」
なんてッ!
「顔は整形なんか
してないわよッッ!!!!」
「あら、そうなの?
だったら失恋でもして
ひと晩中
泣き腫らしていたのかしら」
いつもよりも
アイメイクが濃いわね、って
その恐ろしいツッコミは
何でしょうッ!!!!