「…この状況のどこを見て
自分の運がいいなんて
思えるんだか」

「運が悪かったら
とっくに落下してるもんッ」

そうだよ!

「これから私達は
助かるからこそ
ここにこうして居るんだよ!」


「落ちる恐怖を味あわせる為に
神様が意地悪してるのかもよ」


「ぜんざいだって
より甘く美味しく食べる為に

塩昆布が
添えてあるじゃないッ」


「…ぜんざいの小豆の皮って
最悪だよな」


「すいかでもいいしッ」

「タネ面倒くさい」

「モノの例えに
いちいち関係ないツッコミ
入れないでくれるかなッッ」


コーフンする私に
セイが声を上げて笑っててッ。


「…トーコに掛ったら
どんな逆境も
しあわせの為に
存在するように思えてくるから

不思議だよな」


「いいじゃんッ!
人生ポジティブシンキング!」

美しさも才能も
持ち合わせていない人間は

「そうやって
自分の背中を押さなきゃ
生きていけないもんねッ」


「…お前は本当に強いよな」


セイの声がマジなトーンで。

てっきりバカにされるのかと
思ったのに。


「…世の中の人間みんなが
トーコみたいだと
いいんだけれど」


セイの声はやさしかった。


「みんないろんな恥をかき
失敗を経験するとさ」

自分の能力や
待ち受ける未来を
いつしか
信じられなくなって

目の前に
しあわせへのドアがあっても
ノックできずにいたりして。


「そんなとき誰かに
自信満々に大丈夫、って
背中を押して貰えたら」

暗闇の中にも
希望の光を見出して

「一歩を踏み出す勇気を
持てたりするコトって
あるんだよな」


それが例え

根拠のない大丈夫、だとしても

それは人生の
ありがたい謹言となる。


「…アナタの占いを
信じてきたヒト達も

そうやって
前に進む為の勇気を
貰ったんじゃないのかな?」


え?