「まったく!

どうして状況をすぐに
知らせてこなかったッ!」


先生の部屋。

先生のベッドに
運び込まれたセイに

先生が憤慨しながら
痛み止めの注射を打つ。


「痛ッ、痛いぞッ!」

「当然だッ!」


大騒ぎしているふたりを横目に
窓の外の様子を気にしていた
テツオさんが

「ねえ、ねえ。
どうしたのかしら。

騒ぎになってるかと思ったら

マスコミのヒト達が
次々に引き上げていくけれど」


テツオさんのセリフに

部屋の隅から
セイ達の様子を見ていた
大正ロマンが
窓に駆け寄ってきて。


「…ガセを掴まされてたって
わかったんだろう」

顔色ひとつ変えずに
平然と答える先生に

「先生。他の美味しいネタ。
マスコミに提供したんだ?」

セイがすかさず
先生にツッコミを入れた。


「タカヒロの病院に
お世話になってる
芸能プロダクションって
たくさんあるからね〜」

どんなネタを
提供して貰ったの?、って

興味津々で
近寄ってくるテツオさんを
邪魔にして

「手、診せてください。
傷口が開いてる」

先生が
戸惑っている大正ロマンの
手を取って

昨夜、先生のテーブルを
守ろうとした
大正ロマンの名誉の負傷を
黙々と治療を始めた。