「あのテーブル。
いくつも補修した跡が
あったからどうしてなのか
不思議だったんですけれど」

先生がそこまで言って
コトバを止めた。


…パテを売っていた
文具店のコト

大正ロマンが
よく知っていたワケだ。


帯のない着物姿の
大正ロマン。


確かに
根っからの悪いヒトでは
ないのだろう。


「…これで傷口は
目立たないと思いますよ」


イベントで
マイクを持つときは
反対の手でね、って。

先生のセリフに

大正ロマンが
真っ赤な顔をして
先生を見上げてて。


「閉鎖してしまったHPは
僕が責任を持って
復旧させますから。

閉鎖させるにしても
続けるにしても

自分で決めて
自分でやってください」


「……」

…先生の顔には
お得意の営業スマイルの
ひとつもなかったけれど。

大正ロマンは
それでも嬉しそうにして
帰っていくのを見て

何だかほっとした。


「アタシも勤務時間だから」

帰ろうとするテツオさんに

「…トーコちゃんも
学校があるんだよね?」

先生が私を
テツオさんに託そうと
していますけどッ。


「今から学校に行っても
遅刻の言い訳が
大変ですからッ」

ベッドの上の
セイの傍をガッチリ
私はキープするッ。