「…箱の中身に関する
口止め料って

何のお話かしら」


…ここまで来て
まだ居直る気なんだろうか。


箱が開封されていて

中身がチェックされているのは
一目瞭然だったハズなのに。


「インチキ占いの
証拠なんだよね」


そんなセイのひと言にも
大正ロマンは
眉ひとつ動かさなかった。


「何を勘違いされているのかは
知りませんけど。

あの書類は
大事な顧客情報。

第三者に持ち出されて
いいモノではありませんから」


「顧客情報ねえ」

セイが冷ややかな目で
苦笑する。


「私が霊視した結果が
事細かに記されているのよ。

あまりに的中しすぎてて
恐ろしいくらい」


かなりディープなコトまで
霊視して書いてあるから

スタッフの目にも
触れさせるワケには
いけないのだ、と

ツッコんでもいない
疑問にまで答えていてッ。


「霊視、ねえ」

くくく、とセイが笑い出した。


「骨折したトコロが痛むから
頼むから笑わせないでくれ」

なんて。

「…イチイチ大袈裟な子ね」

案外、骨折なんて
ウソなんじゃないの?、って

大正ロマンも負けてないッ。


「…椅子で殴られたトコロ

内出血だけじゃなく
かなりヘコんでるけど

そんなに見たい?」

霊視でも見れないなら、と

セイが自分のバストバンドに
手を掛けると


「…飛び出してきたのは
アナタでしょッ」

大正ロマンが誤魔化すように
セイに背中を向けた。


「…俺が飛び出してくるの

霊感で予知できれば
よかったのにねえ」

役に立たない霊感だ、って
セイが鼻で笑ってる。