「……」

セイは
そんな大正ロマンを
無視するようにして。


飾り棚から
わざと高級そうなお皿を
選ぶと

チーズを入れて
トースターの中に
突っ込んでッ!!!!!


「…まさに愚行!

猫に小判。豚に真珠とは
このコトねッ」


大正ロマンが
その顔を引きつらせながら

「ふふ!、ふふんッ!!!」

笑っててッ。


ハウスクリーニングの
ヒト達の背中にも

緊張感が走ってますッ。


「セイッ!
他の耐熱皿を使おうね」

私はトースターの中の
お皿を取り出そうとして

「熱ッ」

思わず
その手を引っ込めたッ。


「バカだなあ」

ウチの安物家電とは
性能が違うんだから、と

セイは
氷を入れたグラスを
私に渡すと

長い足で私を
キッチンから追い出してッ。


タバコの火に比べたら

ヤケドする程の熱さでは
なかったけれど。


…私をヤケドさせた
トースターは

さすがに病院送りには
しないんですねッ。


セイは
相変わらずマイペースに

戸棚から取り出した
クラッカーの袋の口を
乱暴に開けると

1枚、自分の口の中に入れ

私の方に箱ごと
クラッカーを投げてくるッ。


「あわわわわッ」

粉がちいさく
辺りに散らばって。


ああッ。

掃除し立てのトコロを
ウチの暴君が申し訳ないッ。


「……」

ハウスクリーニングの
皆さんの無表情さに

無言のプレッシャーを
感じながら

ちいさくなる私をよそに

セイの無尽な態度は

どんどん
エスカレートしていったッ。