「先生からだ」

「えッ」


セイが
病院を抜け出したの

バレたのかな…。


「出てみて」


「…はい。トーコです」


セイに言われる通り
ケータイに出た。


『トーコちゃん!?

ごめんッ!
今、そっちに掃除のヒトが
来ちゃってるでしょ』


私のケータイを
一緒に耳に当てていたセイと

思わず目を合わせるッ。


「…今、帰った、と言え」

セイが
私にそっと耳打ちして

「……」

私がその通りに
先生に伝えると


『掃除が入ってるコト
すっかり
アタマから抜けていて

ハウスクリーニングの
スタッフから
電話があるまで

すっかりアタマから
抜けていてね』


驚かせて悪かったね、と
先生が恐縮していた。


『シャンパングラスを割って

怪我したらしいって
スタッフから
聞いたんだけど…』


えッ。

「もし、も〜っしッ」

セイが私からケータイを
奪い取って

先生と話し始める。


…バレバレだったんだッ。