言うが早いか

セイがちゅるるん、と
チーズを
器用に吸い上げてッ。


「んッ」


あっという間に
セイの唇が

私の唇にゴールインするッ。


「俺の勝ちッ!」


「……」

何だか
妙にハイテンションの

セイだった。


「…やっぱり

さっき先生に

何か酷いコト
言われたんじゃないの?」


「……」

私は、つい

その不安を
口にしてしまっていて。


「だって、変じゃない?

大事な書類をまんまと
持ち去られたのにッ

お咎めもなく
このまま解散、だなんて」


負けず嫌いの
セイらしくない。


きっと
先生に何か
先手を打たれてしまってた

とか

セイはこの一件から
手を引かざるを得ないような
立場に追いやられて

そのプライドを
ズタズタにされたのでは
ないのか。


なのに。

私のそんな心配をよそに


「絡むねえ」

セイってば
笑ったりしてッッ。


「…真面目に話ッ
してるんだけどッ!!!」

私の剣幕に


「…あの書類なら

すでに
写真を撮られていて

外に流出してしまった後
だったんだよね」


セイが
あっけなく

白状した。