「くぬぬぬぬおおおおッ」
バカにしてッ!
バカにしてえええッッッ!!!
「ママ―ッ!
あのね〜ッ!
セイがね〜ッ!!!」
負けじ、と私も
電話の向こうの
ママにも聞こえるように
大声で叫んでやったッ。
のにッ。
その瞬間。
ボコン。
…鈍い音を立てて
セイのカカト落としが
私の頭上に決まるッ。
「……」
…あまりの痛さに
目の前に星が舞いッ
私は声も出せずに
その場にうずくまり
アタマを抱えたッ。
「…ああ、何でもないよ。
眠いから
帰るのが面倒だ、って
トーコのヤツ
ワガママ言っててさ」
…どうして
そんな話になるかなッ。
「うん。もうすっかり。
そう。大丈夫みたい」
この通り
すっごく元気だから
「やっぱりトーコは
タクシーで
ひとりで
帰らせるコトにするよ」
え?
「どういうコトッ!?」
私が顔を上げて
セイに問い質すのと
ほぼ同時に
ガチャッ。
ガタタンッ。
ピンポ〜ン♪
玄関チャイムが
部屋に響いて。
「!?」
玄関チャイムの前に
カギが開く音が
したような…。