【出ろ!】

メモ帳にデカデカと
書き殴った文字を

私に見せると

「きゃッ」

セイは私を長い足で
玄関の方へと
押し出そうとするッ。


「…エラっそお〜にッ」


私はソファーにあった
クッションで
セイの後頭部を殴りつけッ

そのまま
やり逃げして

玄関フォンの画像を
覗き込んだッ。


『セイくん?
トーコちゃん?』


「先生だッ!!」


ひえええええ。

クラブ活動中のハズの
先生が

早くもご帰還でッ!!!


ママとまた話し込んでいた
セイの後頭部を

私はもう一度
クッションで叩いてッ


「先生だよッ!」って
口パクしながら

私は玄関フォンを
指をさすッ。


「あ、母さん。

ちょっと、このまま
待っててくれる?」


ママとの会話を保留すると

焦る私を無視して

セイが
玄関に向かっているけどッ。


…大丈夫かな。


さっき先生と
電話で話していたときは
深刻そうにしていたけれど。


ケンカ、してるんじゃ
ないのかな。


心配して

思わず
セイの後を追ったのにッ。


「ずいぶん早かったね」


「痛み止めのクスリも
持たずに
勝手に病院を抜け出して!」


何を考えてるんだ、って
先生がすごい剣幕で

クスリの袋を
セイの胸元に押しつけたッ。


「……」

…先生ッ
声が甲高いですッ。