さっき私と電話で話していた

穏やかなトーンの
オトナな先生は

いったいどこに
行ってしまったのかッ。


本人は
強く否定していたけれど

やっぱり
その指先の動きも
どこかカマっぽいですッ。


「クスリだけ?

毛皮は持って帰ってきて
くれなかったんだ?」


そんな先生の様子に
苦笑しながら
そうツッコむと

セイは
保留していたママの電話に
再び出た。


「あ、母さん?
今、先生が戻ってきてさ。

うん。そう。

具合の悪いトーコを
診察してくれたお医者さん」


…先生のコトを
ママに
わざわざ教えるなんて

セイは
どういうつもりなのか。


先生もその緊張を
隠すコトなく

セイの顔を
不安げに見つめてる。


「母さんがひと言

トーコのコトで
先生に
お礼を言いたい、って」


セイにケータイを
手渡されッ

「えッ、お母さんッ!?」

先生が大慌てしてッ。


「トーコちゃんの
お礼ってッ」


ウソの上塗りフォローを
押しつけられたッ!!!