「セイッ!」
私はリビングに戻ろうとする
セイの背中を追い掛けるッ。
「先生をあのまま
放っておいてい〜のッ!?」
「い〜の!」
そう答えながら
振り返ったセイは
どこか満足そうで。
「今日
いろいろあった仕返しだ」
なんてッッ!!!
ただでさえ
自分を見失っている先生に
追い打ちを掛けるような
マネをしてッ。
「やっぱりセイは
さっきの電話で
先生とケンカしてたんだッ」
「ケンカなんかしてないよ」
「じゃ、どうして
先生を困らせるような
意地悪するのッ!」
「金星の石」
「…は?」
「金星の石。
約束したのに
持って帰って
こなかったからッ」
…子どもかッ!
「…金星の石なら
電話で
友人に交渉して貰うよう
頼んでおいたから」
「!!」
いつの間にか
私のママとの電話を
終えた先生が
セイのケータイで
私とセイの
ふたりの視線を遮ると
「上手に話してくれた?」
セイってばッ
先生を挑発するように
ふふん、って
笑っているッ。
「…さあね。
ご期待に添えたかどうか」