そんなセイの態度にも
先生はオトナな態度で。


…さっきの
あのハイトーンヴォイスは

いったい
どうしたんだろうッ。


「痛み止めは
まだ効いている?」

先生はすっかり
いつもの先生に戻っていてッ。


「ウチの母さん。
面白いでしょ」

「…ああ。
マイペースなヒトで」

思わず我に帰っちゃった、と
先生が

やっと笑った。


「……」

セイは先生に
意地悪したんじゃなくて

冷静にさせる為に
ママの電話を
押しつけたのだろうか。


そう解釈したくなるくらい
先生は
自分を取り戻していて。


「クスリ、飲む?」


「その飲み薬は
たいして利かないから
いらない」


セイは相変わらず

先生に対して
ワガママいっぱい

言いたい放題で。


「もしかして

誘眠作用があるヤツを
処方したとか、って

警戒してる?」


「……」


「…飲み薬で
一番効果があるヤツを
選んだら

たまたまそうだった
だけなんだけど、な」