先生は苦笑して
出し掛けたグラスを
元に戻した。


「この飲み薬が
お気に召さないのなら

直接、痛み止めを
カラダに入れようか」

速攻性もあるからね、と

先生は
持っていた
ドクターズバッグを
セイに見せて


「どうぞ」

ってッ。


寝室のドアを開けて
いますけどッ。


…あの〜。

どうして先生は

セイを寝室へと
誘っているのでしょうかッ。


「……」
「……」


しかもッ

ふたり、黙ったまま
視線を
からめ合っていたりしてッッ。


おふたりさんッ。


アイコンタクトで
いったい何を
話しているんですかああああ。


「…先にトーコを
タクシーに乗せて
ウチに帰さなくちゃ」

ってッ。


それはッ

コトが及ぶのに
私が邪魔だ、とでも

遠回しに
言ってるんでしょうかッッ!


「タクシーなら
階下で呼んで貰えるから」


先生が財布から
1万円札を取り出してッ。

「ひとりで帰れるよね?」

なんてッ。


「……」

何でしょうッ。

この無言の帰れコールはッ。


先生は
私にお金を手渡すと

「そこの
コールボタンを押せば

コンシェルジュに
繋がるから」


先生は
セイの腰を抱くようにして
セイと寝室に入って

バタン。

当然のように
ドアを閉めてしまいました
があああッッ!!!