それが何を指していて

いったい
何をしようとする
つもりなのか。


「…どうせ何を訊いたって

セイはまともに答えては
くれないんだよねッ!?」


わかっていたから。

「…帰るッ」


私は
セイを振り切るようにして

玄関で靴を履く。


「待てよ!」

セイが私の腕を掴んで


「タクシー呼んでやるから!」

「もおッ!
放っておいてくれるッ!?」


セイが勝手にするのなら
私だって勝手にするからッ。


「お邪魔しましたッ」

私は怒りのまま
ドアノブに手を掛けるッ。


「トーコちゃん!」

「何ですかッ」


「これ、忘れ物!」

なんてッ。

私とセイの痴話ゲンカに
割り込むようにして

先生が
私に声を掛けてくるッ。


「この白いネコちゃん。

少し見ない間に
日焼けしちゃったね」


「!!!!!」


そッそれはッ!!!!


私は顔から
火を噴き出しながら

先生の手から

少し焦げた
自分の毛糸のパンツを
取り戻そうと

踵をひるがえした

その瞬間。


ガチャ。

玄関のドアが開く音がして。


「え」

「あ」


何とこのタイミングに

大正ロマンと
鉢合わせするなんてッッ!!!


「……」

何をしに
先生の部屋に
戻ってきたのかッ

大正ロマンッ。


…いつもなら
クラブ活動に
行っているハズの時間帯に

いないハズの先生が
どうして
ここにいるんだ、って

その細い目が
目いっぱい驚いているッ。