私の疑問をよそに
「ちいさいくせに
起動、遅ッ」
「無線LANが
最近、調子悪いんだよ〜」
遠目から見ても
キラッキラな
石油王の宮殿みたいな
趣味の悪いデザインの
パソコンの画面を
先生とふたりで
楽しそうに
覗き込んでいたりしてッ。
嬉しそうな先生の顔ッ。
…イチャイチャしている
仲のいいカップルにしか
見えないのは
気のせいでしょうかッ。
「占いオバサンの
公式HPって
完全会員制の
有料サイトなんだ〜」
…セイは
大正ロマンのHPを
見つけたようで。
「管理者ページから
ハッキングとか
頼むからやめてくれよ」
「わ〜ってるよ」
先生のお願いに
セイは
ぶっきらぼうに答えながら
乱暴に
キーボードを叩いていると
「…明日の
映画のイベントの
ゲストなんて話
どこで調べたんだ?、ん?」
先生が
セイの肩口についていた
糸くずを嬉しそうに
取っていてッッッ!!!
「……」
「あれ?、トーコちゃん
まだいたの?」
ってッ!!
リビングの入口で
立ちすくむ私に
やっと気づいた先生が
私に
笑顔を向けてくるけれどッ。
…先生の
やさしい笑顔の奥に
”早く帰れコール”を
感じてしまうのは
私の目が
嫉妬で曇っているせい
なのでしょうかッ。
「…帰るのが
遅くなればなるだけ
母さん達に言い訳するのが
大変になって困るのは
トーコ自身だから」