けどッ。

「…そッ!
そんな困った顔したって

誤魔化されないん
だからね!」


必死で自分を立て直して
反論するッ。


「……」


そんな私を
セイは黙って見つめていて。


セイのペースに
ハマってはイケないって

わかってはいる。

わかっては
いるんだけれどッ。


「……」

こんな風に
ただ無言で真っ直ぐに
見つめられていると


「だからッ、あのねッ」

自分が
何を言いたかったのか
わからなくなってきた。


「…もういいッ」

ひとりで怒って
ひとりで解決。


…我ながら
情けなかったッ。


「トーコちゃん。
座ったら?」


先生がテーブルの上に
羊羹を並べながら


「トーコちゃんのは
抹茶ラテに
してみたんだけど」

私に
気を遣ってみせるのが
また私の気に障りッ。


しかもッ!

先生は
セイのソファーを
背もたれにするようにして

セイと一番
自然に密着できる
自分の場所を

ちゃっかりと陣取っていてッ。


私の抹茶ラテは
テーブルの
斜め向かいの端っこに

距離を保つかのように
置かれていますッ。