…こ〜ゆ〜
シチュエーションって

少女マンガとかでは
よく見かけますけれどッ。


まさか自分が

オトコのヒトに
やられるとは

思ってもみませんでしたッ。


先生はさらに

私の手から
ノートパソコンを
取り返すと


「…明日のイベントなんて
調べてどうする気?」

画面を見ながら
セイに話し掛けるッ。


「…トーコを
家に帰してから、ね」


後で話すよ、なんてッ。

ムカつきますッッ!!!


「…先生には話せても
私には話せないコトって

何なのかなッ」


「…さあね」

セイが長い腕を
テーブルの方へ伸ばすと

先生は羊羹の皿を
その手に取らせて。


セイが
羊羹をひと切れ
口にすると

先生は阿吽の呼吸で

セイのコーヒーを
スタンバイするッ。


「……」

…見てる方が
恥ずかしくなるくらい

かいがいしいですッ。


「…トーコはさ。

片想いの苦しさとか

報われるコトのない
想いとか、って

経験したコトがないから…」


セイが
ふと口にしたひと言に


「だろうね」

先生が同意して。


「…どういう意味かなッ」