バカにされてるのは
何となくわかったから。


憎たらしい口を
ヒネってやろうと
セイに近づいて

私の手が
その頬に触れた瞬間。


「…触れられたくはない
ナイーブな問題に

無遠慮に
踏み込まれるのってさ」


セイが
ちいさく溜息をつく。


「…何て表現すれば
わかって貰えるのかな」


部屋を真っ暗にして

見ないよう
気づかないように
していたのに


お陽さまを
背中にしょってるヤツが

部屋に踏み込んでこられたら


「向き合いたくはない
モノまで
嫌おうなく目に入ってくる」


セイは
そんな例え話をしながら

ゆっくりと
その目を閉じた。


「お前は
まぶし過ぎるんだよ」


「……」

…それは
私があまりにも無遠慮で

世間知らずだって
言ってるのかな。


いい意味で
言ってるのではない、って

それだけは
私にも理解できる。



「人間関係の整理整頓」


結論を今日まで
先送りにしてきた自分と
向き合わなくちゃ、と


「…わかっては
いるんだけどさ」


セイが
ちいさく溜息をつく。


…それって。

「僕との関係を
指しているのかな」


そこまで
黙って傍観していた先生が

やっと口を開いた。