「そうだったわ!
ニュースのコト
知らせるの、忘れてた!」
ママが自分のケータイに
手を伸ばそうとすると
「もうとっくに
知ってるんじゃないのかな?」
パパが新聞を
ママの方へ向けた。
「ニュース?」
私は身を乗り出して
パパの持っていた新聞を
自分の方に向ける。
「赤字国債?」
「その下の記事だよ」
「……」
経済新聞なんて
どこからどこまでが
ひとつの記事なのか
残念なコトに
よくわかりませんッ。
私は新聞をそっと
パパに返した。
世の中の経済の動きより
気になるのは
セイの動きッ。
「ねえ、ママ。
それで
セイは他には何て…」
「占い師のグループが
株式操作をしていたって
おおきな記事で
扱われているようだけど」
パパの独り言に
思わず私の口も止まるッ。
「…占い師が株式操作…?」
身に覚えのある
その響きッ。
「…まさかッ」
だよねッ。
「今朝になって
芋づる式に
逮捕者もさらに
出ているみたいだな」
「!!!」
私はパパから
再度、新聞を奪って
その記事に
丹念に目を通すけどッ。
「…これはッ」
「もしかしてトーコにも
何が書いてあるのか
ちゃんと理解できたのか!」
新聞に目を通す私の顔を
毎日、セイに
勉強を見て貰った
おかげだな、って
パパが嬉しそうに
覗き込んできてッ。
「…まあ、大体はッ
大筋はねッ」
理解不能だったけどッ。
それでも。
そこには
大正ロマンらしき名前や
記述はないってコトだけは
わかって
…ちょっと安心した。
だけど
「こんなニュース。
ママは
誰に伝えるつもりだったの?」
「昨日の
お見合いのコよ!」
「え」