「ほら、昨日
ママ、美容院に
行ってきたじゃない?」

「うん」


「もっと大胆に
パーマを掛けようかな、って
思ったんだけど〜」

「うん?」


「最近の流行りは
ゆるふわな気分だ、って

タドコロサンも
言ってたし〜」


「……」

私の知りたいコトから

ママの話の主題が
おおきく逸れているように
感じてしまうのは

気のせいでしょうかッ。


「ずずずずずッ」

私はわざと音を立てて
おみそ汁をすすって

ママに
早送りして欲しい気持ちを
アピールしてみるけれどッ。


「美容師のおにいさんはね〜」

舌好調のママの
マイペースなおしゃべりは
止まらないッ。


「ずずずずずずずずず、ずッ」

そんな私の苛立ちを
察したかのように


「実はね。

昨日のお見合い。
お店で
ランチをしているときは

お互いケッコー
気のある感じだったん
だけどね」


ママに代わって
パパが事情を話し始めた。


だけどッ。

「夕方になって
オンナノコの方が…

あ、オンナノコって言っても
30過ぎてるんだけどね」


…パパもママの悪影響か

余計な説明が多いですッ。


「家に帰って
占いの本で相性や何かを
調べてみたら

男性の両親とよくないかも
って、言い始めて」

やたらと相手の男性に
家族の誕生日の話とかを
聴きたがっていたから

妙だとは
思ってたんだけど、って

パパが苦笑してみせる。


…それって
もしかして

大正ロマンの

「アナタと私の
らぶらぶ相性ブック…?」