「セイは
見合いは上手くいくし
鑑定料も
無駄にはさせないから、って
電話でママには
言ってたらしいけど…」
…だから
セイは
大正ロマンを
まだ失脚させるワケには
いかないんだ、って
考えたんだろうか。
「賢いセイのコトだから
何か考えがあるのかも
しれないけれど」
あんまり変な世界には
関わって欲しくは
ないんだが、って
パパは
新聞を折り畳んで
話を終えた。
「……」
…パパの言う
”変な世界”って
怪しげな新興宗教とか
カルト教団とか
多分、そ〜いった類いの
世界のコトだよね。
「ずずずずず…」
オトコ同士の
イケない愛の世界なんて
パパ達は想像も
していないんだろうな…。
「……」
…昨夜
先生のベッドで見た
セイと先生の
妖しいシルエットが
アタマの中に蘇ってくる…。
「ずずずずずず」
「こら、トーコ。
さっきから行儀が悪いぞ」
「ず…」
「ほら、アゴに垂れてる」
パパが
腕を伸ばして
ティッシュの箱を
取ってくれて。
「あははははは」
私は現実に引き戻され
恥ずかしい自分の妄想を
笑って吹き飛ばした。