スプリング♂038
予想もしなかった相手が
電話に出てしまったときって
とっさに
コトバが浮かばないモノでッ。
かといって
自分から電話を掛けておいて
沈黙するワケには
いかないから
…とりあえず
電話を切ったッ。
「…何でッ!!!!」
どうして
大正ロマンが
先生の部屋に
いるのかッ。
それとも
先生のケータイが
大正ロマンの部屋に
あるのかッ。
どっちにしても
有料サイトを
突然閉鎖、なんて
とんでもない事態にも
大正ロマンに
動じている様子はなくて。
…もしかして
自分のホームページが
消えているのに
まだ気がついてないとか?
「……」
私は手の中のケータイを
じっと見つめる。
…念の為
「セイにも、このコトを
知らせておいた方がいいよね」
セイへのメールを
打とうとした瞬間ッ
私の手の中で
ケータイで
激しく震えてッ。
ケータイの画面に
表示されている
【ねずみ〜らんどの先生】の
文字を見て
「ゲゲッ」
思わず額から
汗が噴き出したッ。
…私が強引に
ケータイを切っちゃったから。
だいたいッ
リダイヤルなんて
テクニックを
メカ音痴が使うコト自体
反則ではないでしょうかッ。
鳴りやまない呼び出し音ッ。
「……」
この電話に出て
何を言われるのか
想像しただけでも
恐ろしいッ。
「…別にッ
出なくてもいいよねッ」