下手に関わって

またセイに
予想外の邪魔が入ったとか
言われたくはないしッ。


待ち伏せでもされない限り

「これから先

大正ロマンと
顔を合わせるコトも
ないもんねッ」

そう自分に言い聞かせて

執拗に鳴り続けるケータイの
電源を切ろうとしたのにッ。


その瞬間

留守番電話に切り替わってッ。


『この私に
居留守を使おうなんて

いい度胸ねッ』


…ケータイから
伝わってくる

恐ろしいオーラッ。


「…もしもし」

私は腹をくくって
電話に出たッ。


まずは
電話が切れた言い訳を、と
思ったのに


『アナタなんでしょ。

この修復用のパテと
ゴールドのペン』

大正ロマンが
自分のペースで
何やら会話を続けててッ。


『テーブルの修復には
これがいい、と

駅ビルの画材屋の店員に
売りつけられたんでしょうね』


「…見てたんですかッ!?」


『そんなコト
見なくてもわかるわよ。

私を誰だと思っているのッ』


「……」

このヒトって
どこかひと言多いですッ。


『残念ながら
このパテじゃ
あのテーブルは
修復できないから』


…見かけによらず

DIYとかの
日曜大工的趣味でも
あるのかな。


『…アナタは
おっちょこちょいな上

ヒトにつけこまれやすい
顔相をしているから

気をつけなさい』


なんてッ。

余計なお世話だッ。