『永遠に
結ばれそうにないヒトを
想い続けるには
私には全てが見えすぎたわ』
その力ない
声のトーンのせいなのか。
いつもの毒舌には
聴こえなくて。
「……」
『……』
…嫌な沈黙。
電話の向こう
ビュウビュウと
風の音までも聴こえてくる。
「……」
『……』
何だか嫌な胸騒ぎがして
「あのッ。
今、どこにいるんですか?
先生やウチのセイと
いっしょなん…!」
プー、プー、プーッ…。
私が全部を
言い終わらないうちに
大正ロマンは電話を切って。
「……」
…やっぱり変だよッ。
私は慌てて
先生の番号を
リダイヤルしたのに。
「留守番電話サービスって…」
…車に乗っていて
トンネルにでも
入っちゃったのかなッ。
「単なる電池切れなのかも
知れないし…」
自分の都合のいい方へ
解釈をしてみるモノの
私の胸騒ぎは
おおきくなる一方で。
「…どうしてセイは
こんなとき
連絡すらしてこないんだかッ」
セイに
メールを打つだけ打って
責任をセイに押しつけては
みるモノのッ。
「…後で後悔するような
事態になったりしないよね?」
私はケータイの時計表示に
目をやった。
いつもより
1時間、早い起床。
「先生のマンションまで
電車で30分…」
学校に行く前に
「ちらっと
立ち寄るだけだからッ」
自分にそう言い訳して
私は
先生のマンションに向かった。