矢継ぎ早の
ぶしつけな質問に

彼らが記者らしいってコトは
すぐにわかった。


「いくらくらい
お金を振り込んだの?」

「保護者の方には
ナイショのお金だったとか?」

「アブナイお仕事を
強要されたりしたの?」


…どうやら記者達は

私を被害者のオンナノコと
決めつけているらしかったッ。


だけど。

マスコミがここまで
集まってくるってコトは

やっぱり
大正ロマンに
何かがあったワケで。


「ゴマフアザラシさんッ。

どうして
黙っているのかなッ?」

「……」

「ゴマフアザラシさんッ
騙した彼女に
言ってやりたいコトは?」


…確かにッ。

私は管理人さんに
ゴマフアザラシだと
主張しましたよッ。

主張しましたけれどッ。


「ゴマフアザラシさ〜んッ!

ちょっと待って!
もう少しお話を!!!」


大真面目な顔で
疑いもなく

ご丁寧にも”さん”づけで

ヒトのコトを
ゴマフアザラシ呼ばわり
するのは

やめてくださいッ。


私はそのまま
記者達を振り切って
大通りに出て

「はああああああ」

おおきく溜息をつきながら
道路沿いの植え込みの
レンガの上に腰掛ける。


「…せっかく
ここまで来たのに」