愛のレッスン編
今日もまた弟が自分の部屋に
新しいオンナノコを
連れ込んで
イケないコトしてるッ。
「あんッ、あ、あ、あああ」
オンナノコの嬌声だけが
漏れ聞こえてきて
私はステレオのボリュームを
また上げた。
1歳下の弟のセイのご乱行は
高校生になって
急に酷くなった気がする。
『どうかしたの?』
ケータイのむこうで
私の彼氏が心配したから
「あ、何でもないですッ。
近所の犬がうるさくって」
私は何もなかったような
フリをした。
「聞き取りにくいから
メールにしますね」
私は彼氏との会話を
メールに切り替える。
《来週のデートは
ちょっと遠出して
ねずみ〜らんどに行かない?》
「うっそ〜お!」
思いも掛けない
クボ先輩からのお誘いに
私はすかさず
O.Kの返事を打った。
いつも近所で
お茶するデートばっかり
だったから
すっごい期待してしまうよッ!
「うふッ、うふふッ」
浮かれ気分でメールを終え
夕食を食べに行く
足取りも軽く
私はダイニングに移動するッ。
彼氏のクボ先輩とは
交際してまだ3か月。
恥ずかしくって
未だに先輩のコトを
“クボ先輩”としか呼べてない。
春休みにバイトしてた
ファーストフードの店で
知り合ったんだけど
1つ上だけあって
しっかりしてて紳士で賢くて。
「トーコちゃん」
私を呼ぶ声も爽やかで。
バイトの最終日に
告られたときは
本当に恥ずかしいくらい
舞い上がってしまってた。
ドジばかりして
先輩の足を引っ張ってばかり
だったのに。
「いつも笑顔を絶やさない
そんなトコロに魅かれた」
って。