「図太さが
気に入られたんだろ」

「むッ!!」

いつもひと言多い
小憎たらしいセイが
私の傍に寄ってきてッ

浮かれ気分の私の独り言に
ツッコミを入れてくるッ。


「母さん。俺も夕飯、食べる」

ひとり先に
夕食を始めていた私の隣りに

当たり前のように
セイが座りッ!!!

「でも、クボってオトコ

何が目的でトーコなんかと
つきあってるんだろう」

なんてッ!
ど〜ゆ〜意味かなッ!

「クボ先輩をその辺の
やりたがりのバカオトコと
一緒にしないでくれるかなッ」


「…それって
もしかして
俺のコトを言ってるの?」

…自覚はあるんだッ。


毎日、毎日
盛りのついた犬みたいに

しかもッ!

私がクボ先輩と
電話しているときに限って
嫌がらせのように
オンナノコに
嬌声をあげさせてッ。

「壁が薄いんだから
ちょっとは遠慮して欲しい」

「ホテル代、出してくれるなら」

「オンナノコの家に
行けばいいでしょう!!」

「そんなコトして
彼女気どりされても困るだろ」

…こんな不誠実なヤツッ
私なら絶対に
彼氏になんてしない!!


口は悪いし
目つきはキツイし。

連れているオンナノコだって
毎回違うしッ。


どこで知り合ったのか
見たコトもないような制服の
オンナノコから

外車を乗り回す
オトナの女性まで

実にセイの交流は幅広く。

そして
必ずと言っていい程
その相手は
みんなして美人ばっかりだ。


「ちょっと
自分がキレイだと思って」

自分の周りにも
美しいモノしか
置こうとしないのは

自己愛の表れなのか。

「……」
…そりゃあ、ね。

確かにセイは
姉の目から見ても
キレイなオトコノコで。

ちいさい頃から

「反対だったら
よかったのにね」

よく比較されては
落ち込ませて貰ってきた。


私なんか
今でこそ眉毛を整えて
ちゃんとオンナノコに
見えるけど

ちいさい頃は
そのゲジゲジ眉毛のせいで
オトコノコと
間違われるコトも
日常茶飯事で。

フリルの服を貰っても

「セイちゃんの方が似合う」

気がつくといつも
セイのモノになっている。