おおきな黒目がちな目。
長いまつ毛。
薄い唇は桜貝のよう。
細い指の動きは
いちいち優雅で。
そのくせ
かもし出す雰囲気は
退廃的で。
全てがちょっと
日本人離れしていた。
私の友達なんて
ウチに遊びにきて
廊下でセイと鉢合わせしては
「心臓が止まりそうに
なった〜〜〜!!!!!」
…アイドルとテレビ局で
すれ違ったかのような反応で。
「ホントに人形じゃないの?」
みんなして大興奮だ。
「お風呂とか同じ湯船に
浸かってるんだよね」
…質問も
どんどん倒錯してきてッ。
「あんなヤツの後に
お風呂入ったら
変なビョーキとか
貰いそうだもん」
「勿体ない!!!
キレイなエキス
貰っちゃえばッ!!!」
みんな目がマジ過ぎです…。
「見た目がいまひとつの
トーコだって
遺伝子は近いんだから」
努力次第では
近づけるかも知れないのに
なんてッ
余計なお世話だッ!
…こんなセイだから
周りはいつだって華やかで。
私に向けられる
オンナノコからの視線も
当然、痛かった。
私とセイがあまりにも
姉弟に見えないから
「セイの周りを
うろつくのはヤメロ!」
ちいさな頃から
嫌な目にも遭ってきた。
それでも
中学生のときのセイは
どんなにオンナが
寄ってこようと
眼中ないってカンジ
だったから。
「同性愛主義者だったりして」
心配した時期があったのも
本当だ。
進学したのも
私立の男子校だったのが
イケなかったのか
気がつくと
いつも周りをオトコで
固めるようになっていて。
キレイ系のおにーさんや
妙な紳士のおじさまの車で
当たり前のように
送り迎えして貰っているのを
何度、目撃したコトか!
高そうな時計やら
アクセサリーやら
身につけては
「飽きたから
もういらないって言うから
先輩から貰ったんだ」
言い訳してるけど。
発売間もないレアモノなんか
箱つきで持っていたりして
…怪しいったらないッ。
そんなセイがオンナを
傍に置くようになったのは
高校生になってから。
私に彼氏が出来たから
そのライバル心に
火がついたのか。