BLマンガの
美少年じゃあるまいし。
ウチみたいな平均的な
サラリーマン家庭には
絶対にそぐわないッ!
ステーキの脂の部分を
器用によけながら
「ネズミ〜ランドかあ。
俺もトーコについて
行こうかな」
セイはポツンと呟いて。
え。
「なッ、何でッッ!?」
どうしてセイが
ねずみ〜らんどの計画を
知っているんでしょうかッ!
「…メールッ、見たな」
「見たよ」
「何で見るかなッ!?」
「トーコが心配だから」
マジな目で
セイが私を見つめている。
「……」
弟だとわかっていても
ドキドキしてしまうなんて。
美しいってホント罪だ。
「トーコの彼氏は優しいから
弟がついてきたって
歓迎してくれるでしょ」
“トーコ”って私のコトを
呼び捨てにする、この弟は
そう言いながら
私の口の中に
自分の食べかけのステーキを
突っ込んできたッ!!!
「私、レアな肉
超嫌いッ!!!!!」
真っ青になって吐き出す
私を指さして
セイがふたつ折れになって
笑い転げてるッ。
「血の滴るレアなんて
生肉と生血だらけじゃないッ!」
こんなモンばっか
好んで食べてるから
肉欲ばっかり強くなるんだと
思うッッ!
…実の弟じゃなかったら
絶対に関わりたくないッ。
なのにッ!
「セイ。トーコをからかうのも
その辺にしておきなさい」
トーコは
冗談の通じないタイプ
だからな、なんてッ!
パパはのん気に
夕刊に目を通しながら
またセイの味方をするッ。
セイのお相手の
オンナノコの親が
怒鳴りこんできたのも
1度や2度ではなく
セイの素行の悪さも
クセの悪さも
パパもママも十二分に
知っているハズなのにッ!!
「陰でコソコソされるより
いいじゃないか」
…どうしてウチの親は
セイにどっぷり弱いのかッ。
「だったらッ!!!
私もセイみたいに
好き勝手してもいいワケッ!?」
「そんなの許さない!」
ってッ!
どうして
セイが口出しするのかッ。