饒舌だったセイが
私のひと言に黙ってしまった。


…ちょっと
言い過ぎちゃったかな。

「…あの、セイ?」

「妊娠なんて
空気感染してたら

少子化なんて問題は
起こってないだろ」

「は?」

「トーコは子どもって
どうやって作るのか
知らないの?」

それくらい知ってますッ!!

「教えてやろうか?」

はい!?

「知らないと
彼氏の前で恥かかない?」

俺、すっごく心配、って
私の顔を見て、またニヤリッ!


「余計なお世話よッ!!!」

憎たらしいセイに
蹴りを一発
お見舞いしてやろうと
したらッ!

「…またイチゴのパンツ
穿いてやんの。

色気のね〜ヤツ」
なんてッッ!!!

だあああああああああ。

マジ、ムカつくッッ!!!!


自分の姉をからかうコトに

無上の悦びを感じてるとしか
思えない!!


「セイのバカッ!
バカバカバカッ!」

呪文のように
同じフレーズを口にしながら

カッカしたアタマのまま
私は自分の部屋に戻った。


だけど。

ベッドの上

ケータイ電話が
メールの着信を
知らせているのを見て

「クボ先輩からのメールだ!」

私のテンションは
イッキに跳ね上がる!

「ねずみ〜らんどのプランでも
早速、送ってくれたのかなッ」

浮かれ気分で
メールに目を通したのに。

「……」

《悪い。
来週のねずみ〜らんどの件
なんだけど
悪い。電話くれないかな》

なんて。
ヤな予感ッ。

悪い、悪いと
やたらと書いてあるのは
たまたま、じゃないよね。


重い気持ちのまま
クボ先輩に電話をしてみたら。

『実は妹が、自分も一緒に
ねずみ〜らんどに
行くんだ、って

うるさくてね』

「妹さん?」

『小5なんだけど
大のねずみ〜ファンでさ』

ネットとか調べてるトコ
見つかっちゃってね、って

電話の向こうで
クボ先輩はやたらと
恐縮しまくっていますけどッ。

「……」

デートに
妹を連れていくなんて

先輩
それは本気ですか?

私は自分の耳を疑った。

『…ダメかな?』