…だけど。

こんなコトで
意地悪言って、困らせて

扱いづらいヤツだ、なんて

やっぱり
思われたくはないよね。


デートは
これが最後じゃないんだし。

「いいですよ」

ここは気持ちよく受け入れて
電話を切るコトを選ぶ。


「ま、モノは考えようだしッ」


もしかしたら妹さんにも

「おねえちゃま♪」

なんて、なつかれて
気に入られちゃったりしてッ。

「子ども好きなんだね。
理想の結婚相手だ」
なんてッ

「きゃああああん♪
私のバカああああ♪」


「…何、はしゃいでんの?」

ハッ!


…私を夢の世界から
現実に引き戻す

その悪魔の声はッ!!!!!


「……」

恐る恐る声のする方を
振り返ると

冷めた視線でセイが
こっちを見ていてッ!


「部屋に入るときは
ノックくらい
しなさいよねッ!!」

手にしたマクラを
思わずセイに投げつけたッ。


「シャーペンの芯
借りにきただけだろ」

なんてエラソーにッ

その手にはちゃっかり
断わりもなく

私のハートのシールつきの
シャーペンの芯を
持っていてッ。

「何でもシールで
デコるのやめろよな」

シュミ悪いぞ、って

セイが勝手にシールを
剥がし出すッッ!


「私のカバンの中
勝手に触らないでよねッ!」

プライバシーも何のそのッ。

いつもこの調子で
本当にヤになってくるッ。


「ねずみ〜らんど
俺、ついてってやるよ」


「結構ですッ!」

「どうして?
お邪魔虫の小学生の子守り
ありがたくないの?」

ってッ!!!!!

「全部ッ聴いてたんだッ!?」

信じられないッ!!!!

「ガキがいたら
色っぽいコトも
期待できないだろうしな」

「はいッ!?」

「期待してるんでしょ?」

「な、何がッ」

「いろんなコト」

「な、何をッ」

セイのいつもの挑発だ、と
わかっているのに
私ってば、どうして
動揺してしまうのかッ!

「言って欲しいの?」