セイが私に耳打ちしてきて

「それ以上
近寄らないでねッ!」

セイを押し返そうとしたのに

「おっと!」

セイが身を華麗にかわして

私の方がベッドに
倒れこんでしまったッ!


「…何やってんの?」

起き上がろうとした
私の足首をセイが掴んで

「きゃ、ふんッ!」

見事に私はセイに
ひっくり返されッ!

「くぬおおおおお!」

私は前に進むべく
必死でもがいているのに

セイの力は
私の想像以上に強くて。


…血の気が引いた。


「くっ」

くくく、って背中越しに
セイの笑い声がする。


「トーコって
どこか動きがコミカルだよな」

「失礼なッ!」

「彼氏が襲ってきて
そんなリアクションしてたら
彼氏のヤル気も萎えちゃうぞ」

「これはッ
相手がセイだから…ッ!」

「どうして?
俺は弟なんだから
彼氏なんかより
よっぽど信頼出来るだろ?」

「う」

「まさかトーコは
近親相姦なんて
おぞましい発想を
してるんじゃないよね?」


「ぐッ」

鋭いッ。


「…セイがッ!

私を押さえつけたりして
驚かせるからッ」

そうだよ。

セイがそんな目で
私を見るから…!


「…俺、トーコが好きだから。

トーコには
しあわせになって
貰いたいんだ」

「え…」

「こんな売れ残りそうな物件

よぽど価値をつけて
売り出してやらなきゃ
将来が不安だからな」

なんてッ!!!!
余計なお世話ッ!
「アネキの老後の面倒まで
俺、みたくないし」

重ね重ね失礼なッ!!

傍にあった教科書で
バンバン、バンバン!

セイのアタマを
叩いてやったのにッ!!!


「あははははは」

叩かれながら
セイは嬉しそうにしていてッ

なおさらムカつくッ。


「安心しろ。

ねずみ〜らんどの
デートまでには

この俺が
手取り足取り
ラブレッスンしてやるからさ」


セイのキレイな顔が
アップになった。