「みみみみ、見てませんッ」

見てたのは
私ではなくセイのバカですッ。


思わず額から
嫌な汗が噴き出してくるッ。


「…ホントはさ。

今日はトーコちゃんと
ふたりで夜のパレードを
見るつもりだったんだよね」

「え」

「それで、事前にいろいろ
計画、立ててたんだけど」


クボ先輩は恨めしそうに

ショップの中を
駆け回っている
ルリちゃんの背中を

目で追いながら

サイフの中から
カードキーを取り出した。


「実は今夜
ねずみ〜らんどの
オフィシャルホテルに
部屋を取ってあるんだ」

え…。

思わず私は
自分の目と耳を疑ってみるッ。

「あはッ?」

「だから、その」

「はい」

「えっと…、トーコちゃん」

「……」

「……」

…今日
初めて手を繋いだふたりが?

キスもしたコトもない
ふたりが?

ホテルに?


泊まるうううううう!?


「……」

気がつくと私は
その場にしゃがみ込んで
しまっていて。


「あ、いや、そのッ!

何かしようとか
思ったワケではなくてッ!

泊まった方が
たくさん遊べるし、ってッ

いや、遊ぶって
変な意味じゃなくってさッ」


私のリアクションに
クボ先輩が思いっきり
動揺をみせているッ。


「……」

ど、どうしようッ。
顔を上げられないッ。

エッチなコトを
思い描いてしまったのは
私の方で。


だけど

妙なリアクションを
してしまって

今更どう
取り繕ったらいいのか
わからない…。

「……」

先輩に思いっきり
恥をかかせてる、って
自覚すればする程

私はどんどん
無口になっていて。

「ちょっと
ヒトゴミに酔っちゃって
気分が…」

私はクボ先輩に

一生懸命
作り笑顔でその場を
乗り切ろうとしたのに!!!

「顔色悪いね。

せっかく取ってあるんだし
ホテルで休んでいく?」