なんてッ!!!

私はけっして
そ〜ゆ〜展開を望んで

気分の悪さを
訴えたワケでは
ないのですがッ!

「いや、もちろん
トーコちゃんひとりで!
だよ!?」

「……」

「当日のキャンセルは
どっちみち全額支払いだし」

「……」

「ホテルの部屋で休んで
気分が良くなったら
夜のパレードを観に
戻ってもいいんじゃないかな」

「……」

…などとッ。

先輩はずいぶん
太っ腹なコトを
言っていますけどッ。


…サイフの中の
分不相応な大金だって

ファーストフードのバイトで
コツコツと貯めた
全財産じゃないんだろうか…。


なのに

キャンセル料なんかで
そんな大切なお金が
無駄に消えちゃうのは

確かに
あまりにも勿体ない…。

「…あ、でもッ!
嫌ならいいから!

さっさと帰ろうか、ね?
うん!、そうしよう!、うん!」

…それに。

こんなにも
動揺を見せている先輩と

このまま気まずく
帰りの電車に
揺られて帰るのも
確かに生き地獄で…。


…結局ッ。

先輩のコトバを
押し切る理由も
思いつけずに

先輩達と別れ

私はひとり
ホテルの部屋にいるッ。


「はああああああああ」

セイに知られたら
またバカにされそうだ。


「キスされたくらいで
いちいちそんな反応されたら
彼氏傷つくと思うけど」


…キスどころか
ホテルに誘われて。

確かにセイの指摘通り

私のリアクションって
凄い問題アリ、みたいだ。

でも。


今、冷静に考えても

どう振る舞えば
よかったのか、なんて
わからない。

ただ嫌われたくなかったから。

大好きな先輩だから。


「…何でこんな風に
なっちゃうのかな」

私の落ち込みを嘲笑うように
ケータイ電話が鳴り響いて。

…電話なんか
パスしたい気分だったけど。

「……」

あまりにも
シツコイその電話ッ。

「……」

ケータイの画面を確認して

「セイ…」

ウンザリ、した。