「勉強は
そこそこ出来るけど
運動は苦手なんだ」
トーコちゃんには
スポーツしているトコロは
とてもじゃないけど
見せられないな、なんて
凄く正直なヒトだと思った。
「出来るモノなら
ウチの愚弟にも
クボ先輩の爪の垢を
煎じて
飲ませてやりたいッ」
ああッ!
思い出しても腹が立つ!
今日だって
この小学生の相手を
してくれる、って
自分から
言い出したクセにッ。
「呼び出しがあったんで〜」
あろうコトか
まさかのドタキャンッ!!
たまには私の役に
立ってくれるコトも
あるんだ、って
期待した私がバカだった。
って。
「あれ?」
ルリちゃん…?
「先輩?」
ひょええええええ!!!!
セイのコト
考えながら歩いてたら
ふたりと
はぐれてしまったよおおおッ。
私は焦りながら
先輩のケータイを
鳴らしてみた、のに!!!
『留守番電話サービスです』
なんてッ!
「ねずみ〜らんどは
圏外じゃないでしょ!!」
私のは
ちゃんとアンテナ3本
立ってますッ!!!!
「…どうしよう」
迷子センターで
ルリちゃんを
呼び出して貰おうか…。
でも。
「トーコさんが
迷子になったクセにッ
私の名前を放送するなんて
よくも
恥をかかせてくれたわねッ」
…恨みを買うのも
コワそうで。
「はああああ…」
いい知恵も浮かばないまま
不安だけがどんどん
おおきくなってくる。
「…先輩は
私とはぐれたコトに
まだ気がついてないのかな」
なかば
あきらめ気分になったとき
突然、ケータイが鳴り出した!
「クボ先輩ッ!
今、どこですかッ!?」
よかった!、と
ホッと胸を撫で下ろしたのも
束の間で。
『何だよ。トーコ。
お前、早速
迷子になってんのかよ』
「え」
その声はッ
「もしかして、セイッ!?」
『もしかしなくてもセイだけど』