セイの笑えないジョークに
動揺する私を
セイが横に追いやって
「こんな格好でごめんなさい」
この後、パレードに
出なくちゃいけないから、と
クボ先輩に
デレラ姫の悩殺スマイルッ!!
…弟だから許してやるけどッ。
これが妹だったら
一生呪い続けていた
トコロだろうッ。
「こんにちは!
夢の国ねずみ〜らんどへ
ようこそ!」
調子づいたセイは
ベッドの中のルリちゃんを
覗き込みながら
ねずみ〜風のご挨拶ッ。
「うわああああ!
本物のデレラ姫!?」
「そうよ」
「きゃああああああ」
「ルリはぶ〜さんの
ファンだったんじゃないの?」
あまりのルリちゃんの
興奮ぶりに
クボ先輩が苦笑する。
「ルリ、デレラ姫の方が
だんぜん好き!!!」
オンナノコはみんな
キレイなモノが大好きだ。
ルリちゃんじゃなくたって
こんなセイを間近で見たら
夢中にならずには
いられない。
「……」
…弟だ、なんて言ったら
やっぱり
ルリちゃんの夢を壊すかな。
そう思って
タネ明かしを
躊躇してしまった私も
確かに悪かったけどッ。
「パレード、楽しいから
ぜひ観ていってね」
セイがルリちゃんの頬に
キスなんか
するモノだからッッ!
「セイッ!」
私は思わず
セイの首根っこを掴んで
奥の給湯室に
引っ張り込んでいた。
「小学生相手に
何をするかなッッ!!!」
「嫉妬?」
このシチュエーションで
いったい誰が誰に
嫉妬する、と
ゆ〜んでしょうかッ。
「…嫉妬なら嬉しいけどな」
「……」
セイがじりじりと
キレイな顔で
給湯室の冷蔵庫の前に
私を追いつめるッ。
…嫉妬するとしたら
それは
セイのその美しさだろう。
「それ以上
近づかないでよねッ!」
「……」
私の過剰な拒絶反応に
セイは苦笑して
「ねずみ〜らんどに来て
デレラ姫に
近づかないで、って言った客
たぶんトーコが初めてだよ」
むむむむむッ。
何がデレラ姫だッ!