異常な訪問者編


遠くで
打ち上げ花火の音がする。

「あれ?」

いつのまに
眠っちゃってたんだろう。

「ねずみ〜らんどの
夜のパレード
もう始まっちゃったんだ…」

今から行っても
まともに
見学できる場所なんて
ないだろうな〜。

パレードの始まる前だったら
ねずみ〜でバイトしている
セイに頼んで…って。

「私、セイに挑戦状叩きつけて
電話を切ったんだっけ…」

クボ先輩と
ホテルでお泊まりするなんて
ウソ言って。

「この部屋番号は
セイもよく知っている
ある暗証番号が
逆さになっていま〜す」


部屋番号のヒントは
出してあげたけど

やっぱり
ちょっと難し過ぎたのかな。

勉強でも、運動でも
ゲームでも
身長を抜かされた辺りから

セイに
まともに勝てたコトなんて
一度もなかったけれど。

「今回は私の勝ちだねッ!」

窓から見える花火も
私の勝利を
祝ってくれているみたいだぞ。

「気分いいから

今日はここで
花火見物しながら
美味しいモノでも食べて
帰ろうかなッ」

私はルームサービスの
メニューを吟味するッ。

「さすが、ねずみ〜らんどの
オフィシャルだけあるな〜」


メニューも
すんごく凝っていて。

「ぶ〜さんのトンカツって
あまりにブラックだよね」

結構、笑える。


「帰りの交通費を考えると
贅沢は出来ないけれど…」

交通費とかサービス料金とか
何度も何度も慎重に
ケータイで計算し直して

最終的には安全圏の
安めのデレラ姫のプレートを
地道に選んで注文した。

オンナノコが好きそうな
ひと口サイズのオカズが
ハート型のプレートに
詰め合わせされていて

すっごくおトク感のある
プレートだったから
選んだだけで

「断じて昼間の
セイのデレラ姫の扮装に
毒されたワケではないッ」