ホテルの部屋。


「今日はちゃんと
話がしたいから!」


私の意気込みに

『彼』は私のブラウスに
掛っていた手を止めて


「どうぞ」


話を続けろと

ベッドの上に
不満げに腰を下ろした。


「だから、あの…!」


真っ暗な部屋

フットライトの光の中

浮かび上がる
『彼』のシルエットに


息を飲む。


髪を無意識にかきあげてる
その姿は

まるで一枚の
ポートレートのように

美しくて


私はコトバを
失ってしまっていた。


「…だから、何?」

冷たい平坦なトーンの
『彼』の声。


「……」

「もういいんなら
続きを始めるけど」


『彼』は私の制服に
再び手を掛けて

私の上半身をハダカにする。


「脱がすの巧いよね。
慣れてるんだ、こ〜ゆ〜の?」

「……」


『彼』は返事もせずに

そのまま私を
仰向けに寝かせた。


その舌は
私のカラダをキャンバスにして
何かを描いている。


芸術家の愛し方。


私はまるで
無機質なモノのように
扱われ

そこにいた。


やわらかいハズの
私のカラダを

固いモノかのように
『彼』は扱う。