野性を感じさせる
舌の感触。
その動きはどこまでも
しなやかで。
黒ヒョウに
いたぶられているような
恐怖と快感を感じる。
このまま私はこのヒトに
食いちぎられてしまうのでは
ないのか。
そんな錯覚を覚える程
『彼』の行為は
刹那的で
一方的で
愛の通わないその行為は
どこか残酷だった。
イケナイコト。
不道徳なコト。
そう感じれば
感じる程
私は
自分の知らなかった
快感の渦に
巻き込まれて。
気が遠くなるくらい
『彼』の行為を
受け入れ続けて
時間の感覚が
なくなっていく。
ママからの電話で
もう21時を
すぎてると知って
大慌てで
着替えを始めた。
「シャワー浴びないの?」
『彼』は裸のまま
私の様子を冷やかに見ている。
「石鹸の匂いなんかさせて
帰れないよ!」
昨日だってうっかり
違うシャンプーの香りで
帰ってしまって
「体育の時間
アタマから砂の中に
突っ込んじゃって、って」
ママに言い訳するのが
タイヘンだった。
なのに。
「ふふん。
俺の手跡をいっぱい残したまま
今日は過ごすんだ?」
なんて
『彼』はとっても意地悪で
「…シャワー借りる!」
取りあえず
石鹸を使わずに
シャワーで
『彼』の汗や唾液を流した。
何か凄くみじめだ。
「…もう、こんなカンケイ
オシマイにしよう」
このままだと
自分で自分が嫌いに
なりそうで
怖かった。
「あれ?」
何だろう、コレ…。