…どうして
私の言うコトなら
何でも
聞いちゃおうとするの?
私のコト
ちいさい頃から
ずっと
片想いしていたらしいけど
こんな風に素直すぎるのも
何か私に責任を全て
押しつけられているようで
すごく不愉快だった。
「私に言われたら
何でもそんなに
素直に受け入れられるワケ?」
「そうだよ」
「死んじゃえって言われたら
死んじゃうの?」
「もちろん」
『彼』は背中をむけたまま
躊躇なく答える。
「そういう適当なコト
ばっかり言ってるから
あなたのコト
信用できないのよ」
私のキツイひと言に
「…適当なんかじゃないよ」
『彼』が
静かに振り向いた。
『彼』は引き出しから
おもむろに大量の薬を
出してきて
「な、何する気?」
「おまえが望むなら
この命でよかったら
いくらでもやるよ」
目の前で薬をイッキに
ラムネ菓子のように
流し込む!!!!!!
「何やってるのッ!!」
『彼』の口の中に
手を突っ込んで必死に
薬をかき出した。
げほッ!
むせ返る『彼』の
頬を叩いて
「いい加減にして!!
もうつきあってらんない!!」
カバンを持って
部屋を出ようと
ドアに手をかけた瞬間
ガラスの砕ける音がして
私は思わず
振り返ってしまった。
『彼』の手から覗く
砕けたグラス。
真っ赤な血が
したたり落ちている。
異常な光景。
なのに
美しいなんて
感じてしまった私は
どこか『彼』に
アタマのネジを1本
抜き取られていたとしか
考えられなかった。