その無防備さに
ワケのわからない
衝動を覚える。


襟元から覗く素肌に
赤い絵の具。

そっと開き見ると

カラダ中あちこちに
飛び散っていた。


ハダカで絵を
描いていたのだろうか。

指でこすっても
取れそうにない。


「……」

この衝動は何なのか。


触れてみたい。

そんな気持ちになったのは
初めてだった。


オンナノコのカラダを見て
綺麗だと触りたくなる
コトはあっても

オトコノコのカラダに
そんな欲求を持つコトなど
なかったし。


触れ慣れたカラダの
ハズだった。

知り尽くしたハズの
カラダだった。


この胸の高鳴りは
なんだろう。

オンナノコがオトコノコを
陵辱する。


イケナイコトだと

自分の中で
ブレーキをかけようと
すればする程

深みにハマっていく
自分がいた。


私は好きでもない
オトコノコを
オモチャにしようと
しているのだ。


相手の同意も得ずに

無防備な『彼』を
襲おうとしている。


綺麗なアーチを描く
『彼』の眉を

唇でなぞってみた。


いつもはグッと結んだままの
『彼』の口元がゆるんで

スキだらけだった。


私は初めて自分から
その無防備な唇を求めた。


少し乾燥したその表面に
軽く触れるか
触れないくらいに

自分の唇を近づけてみる。


自分が何をしているか
わかっている。


わかっているからこそ
興奮した。